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2023.07.26

2022年度の絵本寄贈について~ご報告③

 ≪インドネシアの子どもたちから笑顔のメッセージが届きました!≫

最終回は、都内の中学生ほか、有志の皆様が増刷してくださった絵本を届けた、マルク州ドゥラ島トゥアル市にある地域文庫(Taman Bacaan)、”Taman Baca AKSARA” から届いたメッセージです。

“Taman Baca AKSARA” のあるマルク州は、インドネシア東部に位置するマルク諸島の南部を占める州で(北部は北マルク州という別の州)、セラム島やアンボン島などを始め、たくさんの島々で構成されています。

州の面積のうち約9割が海で、州内の交通手段は主に船・フェリーに頼っている話も、地図を見れば納得。世界有数の島嶼(しょ)国インドネシアを実感する、そんな地域です。

ドゥラ島は、マルク州の南東部にあるケイ・クチル島と橋一本でつながっている島で、その中心地がトゥアル(Tual)市です。調べてみたところ、海沿いには白い砂浜の美しい景色が広がり、海の恵みと緑に満ちた自然豊かなところのようです。

本好きの子どもたちが集まる “Taman Baca AKSARA” は、市の中心地近くにあり、Nihmaさんが運営されています。

遠く離れたTBとご縁ができたのは、今回もインドネシアTBM全国ネットワーク組織 ”1001buku” のご協力あってのこと。日本からでは現地の状況が分かりにくく、私たちのネットワークだけでは地方のTBや施設とつながることは難しいですが、熱心に活動しているTBを”1001buku” からご紹介いただき、絵本を届けることになりました。

先方から届いた写真に、お箸を使って魚を食べる様子が描かれた絵本を読んでいる女の子の姿が映っています。海の幸が豊富な地域ですから、魚を食べることは慣れていると思われますが、何やら細くて短い棒(=箸)を2本使いながら魚を食べる絵本の中の男の子を見て、どんな風に感じたでしょう。「あれ?」「変なの?」「これは何?」。1冊の本が彼女の好奇心をくすぐった、そんな瞬間だったのではないでしょうか。

公的図書館などの施設が十分でない地域においては、地域文庫TBの果たす役割は大きく、Nihmaさんのように個人で普及活動に取り組む方々が読書啓蒙活動を支えています。私たちJ2netは、これからも地域で普及活動をしているTBに関心を寄せ続け、もっと本を読みたいと願う子どもたちに翻訳絵本などを届けていきたいと思っています。

私たちの絵本寄贈プロジェクトは、たくさんの方のご協力で成り立っています。1冊1冊の絵本に皆さまの温かい思いやりやエールの気持ちを乗せて、インドネシアの子どもたちへ届けております。翻訳絵本を送る活動にご関心お持ちの皆さま、いつでもご参加をお待ちしています。

2023.06.23

2022年度の絵本寄贈について~ご報告②

インドネシアの子どもたちから笑顔のメッセージが届きました!

2022年度に出来上がった翻訳絵本をインドネシア各地の地域文庫(Taman Bacaan Masyarakat)に向けて送り出してから約1か月。
先に到着したジャワ島内の3施設に続き、スマトラ島リアウ州やマルク州ケイ諸島といった遠方の地域文庫にも無事に届き、よろこびの声が送られてきました!
今回は、主にMS&ADゆにぞんスマイルクラブ様、個人で参加された方々が作ってくださった翻訳絵本を届けた、スマトラ島リアウ州の地域文庫 ”TBM HAMFARA LIBRARY” からのメッセージをご紹介します。
“TBM HAMFARA LIBRARY” は、世界で6番目に大きい島であるスマトラ島の、リアウ州のテンビラハン(Tembilahan)という町にある地域文庫です。リアウ州と言えば、スマトラ島の中部に位置する天然資源が豊富な州で、地図を見ていただくとお分かりになりますが、マラッカ海峡を挟んで、すぐ向こうはマレーシアやシンガポールといった位置にあります。テンビラハンは、そのリアウ州南部の川沿いにある人口8万人弱の町です。
施設の運営者Ridwan Syafi'i Aliさんはとても熱心に読書啓蒙活動をされているとのことで、インドネシアTBM全国ネットワーク組織の”1001buku”を通してこちらの施設をご紹介いただきました。
偶然にも、Ridwan Syafi'i Aliさんは元々日本に関心をお持ちだそうで、施設では日本語の勉強をすることもあるとのこと。そんな背景があり、今回は翻訳絵本のほかに日本語のままの絵本なども同封しました。
子どもたちはもちろんですが、 ご本人も今回の寄贈を非常に喜んでくれていて、彼が発信した ”TBM HAMFARA LIBRARY” のFacebookの記事では、絵本作りに協力してくださった方、おひとりおひとりの名前を挙げて感謝を表されていました。実は、私どもの活動では、翻訳絵本の作成にご協力くださった皆様の思いが届くようにとお名前やメッセージを書き添えていただいているのですが、今回、その「思い」もしっかりと受け取ってくださったことが実感でき、心の通った交流ができたような気がしました。
”Karena Buku Adalah Jendela Dunia, Maka Membaca Adalah Mata Untuk Melihat Dunia Tersebut.” これは、施設から届いたメッセージに添えられていた言葉で、本は世界を知る窓のようなものだと「本を読むことの大切さ」を伝えています。
寄贈した絵本が、子どもたちの世界を広げていく一助となりうるかもしれない、と考えただけでワクワクしてきますね。
私たちの絵本寄贈プロジェクトは、たくさんの方のご協力で成り立っています。翻訳絵本を送る活動にご関心お持ちの皆さま、いつでもご参加をお待ちしています。

2023.05.06

2022年度の絵本寄贈について~お礼とご報告

 インドネシアの子どもたちから笑顔のメッセージが届きました!≫

去る3月、2022年度に増刷した翻訳絵本をインドネシアの地域文庫(Taman Bacaan Masyarakat)に寄贈しました。その数、なんと約130冊!今年度はジャワ島内外5つの施設に送ることができました。

これもひとえに、増刷活動にご協力くださった皆さまのお蔭です。帝人株式会社ブック・ドリーム・プロジェクト様、MS&ADゆにぞんスマイルクラブ様、社会貢献活動に関心を持ってくれた福島県の高校生、東京の中学生の皆さま、「グローバルフェスタ」「ふれあい満点市場」にご参加くださった皆さま、個人参加の皆さま、この場をお借りして感謝の言葉をお伝えしたいと思います。本当にありがとうございました。

すでに、絵本を受け取った施設からは、早速、よろこびの声が届いております。

今回ご紹介するのは、主に帝人株式会社ブックドリームプロジェクト様、福島県の高校生、「グローバルフェスタ」の参加者の皆さまが作ってくださった翻訳絵本を寄贈した、東ジャワ州の”Sahabat Kecil”、同じく東ジャワ州の”Sokola Pelangi”、中部ジャワ州の”Omah Eling Ngudiraharjo”からのメッセージ。絵本を受け取ったときの子どもたちの笑顔、真剣に読んでいる表情などから、絵本の到着を楽しみしていてくれた現地の様子が伝わってきますね。

この他、スマトラ島リアウ州や、マルク州カイ諸島といった、地方の地域文庫にもこれから届けられることになっています。

各地域文庫のくわしい様子は、これから数回にわたってご紹介していきたいと思います。

私たちの絵本寄贈プロジェクトは、たくさんの方のご協力で成り立っています。1冊1冊の絵本に皆さまの温かい思いやりやエールの気持ちを乗せて、インドネシアの子どもたちへ届けております。翻訳絵本を送る活動にご関心お持ちの皆さま、いつでもご参加をお待ちしています。

2022.06.18

中部ジャワの地域文庫に絵本が届きました!

この度、J2netから中部ジャワ州プカロガンのTBM(地域文庫:Taman Bacaan Masyarakatである「TBM Samudra Bahari」に本を寄贈しました。プカロガンはジャワ海に面した港町。美しいバティックの産地としても有名ですね。

これまでJ2netは、ジャカルタ近郊で直接訪問できる学校や施設に絵本を寄贈してきましたが、コロナ禍で直接訪問が難しかったこと、また、本があまり手に入らない地方にも積極的に寄贈したいと考えるようになったことから、ここ数年はTBM全国ネットワーク組織である「1001buku」から紹介してもらった施設に寄贈してきました。
ただ、今回の寄贈先のTBM Samudra Bahariとはちょっと変わったいきさつがありご縁ができました。私は普段、インドネシア語の勉強も兼ねてNHKのインドネシア語ラジオ放送を聴いており、特にインドネシアのリスナーからお手紙が届く、週一の番組「Halo dari Tokyo」を好んで聴いています。ある日いつもどおり聴いていると、「プカロガンのアフマッド・ファウジさんからのお便り。アフマッドさんはプカロガンでTBMを開いています。地域の恵まれない子どもたちに本を読む機会を持ってもらえるよう頑張っているそうです!」との声がラジオから流れてくるではないですか。ついつい「おっ!」と反応してしまいました。NHKはリスナー同士を取り持つことはしてないので、早速ソーシャルメディアで検索したところ、インスタグラムがヒット!見てみると、若いアフマッド君、地域福祉のため一所懸命活動している様子。早速連絡してみたところ、すぐに返事がありました。
正直、彼がどんな人かもよく知らないし、どんな団体かも分からない状況でしたが、インドネシアの地方にいてNHKラジオを聴いてくれ、メッセージまで送ってみようと思ってくれた、その気持ちというか心意気に応えたいなという気持ちが湧きました。子どもたちのために地域で頑張っていることを、遠い異国にラジオを通じて伝えたいと思ってくれた青年アフマッド君。まさかそれを聴いたリスナーから反応があり、数か月後に絵本が届くなど想像も期待もしてなかったことでしょう。一所懸命に生き何かアクションを起こしたら、きっとそれを見てくれている人がいて、そこからご縁が生まれ、何かに導かれることがあることを、私はどうしても彼に伝えたかったのです。
活動の様子などを詳しく聞き、信頼できる人であり団体であることを確認、翻訳絵本を準備して約2か月後に発送し、この度4月に現地に無事到着しました。届いたのはちょうど断食月が始まった頃、子どもたちも断食月の高揚感の中、遠い日本から絵本が届き、嬉しい時間になったのではないかと思います。「寝る前にお母さんに読んでもらいたいから、おうちに持って帰りたい!」と言う子どももいるそう。貸出もできるよう、データ入力やスタンプ押す作業を早くしないと!とのことでした。
今はソーシャルメディアで地球上の誰とでもすぐにつながることができます。ラジオから流れるメッセージに反応してお便りを出す、、、なんてかなり昭和的なやりとりでしたが、あまり簡単に物事が進むよりも味があっていいなと(どっぷり昭和の私は)思ったりもします。何がきっかけでどういうご縁が生まれるか分かりません。たくさんの人と触れ合いながら、少しでも多くインドネシアの子どもたちに絵本を届け、夢や希望を膨らませてもらえるきっかけを作れたらいいなあと願っています。
この写真、子どもたちが手でL字を作っているでしょう?何かわかりますか?これ、Literasi(=読み書き。英語のLiteracyから)のサインなんです。これは、読書啓蒙活動をしている人たちの合言葉。アフマッド君とのやりとりも、いつも最後は”Salam Literasi!”。これを合言葉に、これからも良いご縁をつなげていけたらと思っています。(宮崎幸)

2021.12.07

翻訳絵本がインドネシアの子どもたちに届くまで:後編

ほどなく、絵本のお届け先がジャカルタの幼稚園 “TK Islam Yaskin” の子どもたちに決まりました。前述の ”TIM CERITA” とは既にご縁ができていた幼稚園です。

 ところが、いざ発送の段になった初夏あたりから、ジャカルタの感染状況が急激に深刻化していきます。テレビニュースから流れるジャカルタの様子を見ては、幼稚園の開園状況や、子どもたちや先生方の健康状態、郵便事情など心配は尽きませんでした。私たちは、もどかしい思いを抱えながらも、感染状況が落ちつくまで発送を見送ることにしました。
 そして9月。マザーズクラブのイベントから半年以上が経って、ようやく“TK Yaskin”の子どもたちに届けることができました!窓口となってくださったIndah先生から、「届いたばかり」と送られてきた第一報(段ボールだけの画像)からは、私たちの絵本を待っていてくださったのが伝わってきました。翌日には、先生方が子どもたちに読み聞かせをしている様子や、子どもたちが自ら本を読んでいる画像が送られてきました。表情を見ると、すっかりお話に引き込まれて集中しているようです。その数日後には、「子どもたちは毎日読んで楽しんでいます」とのご報告。ただただ素直に嬉しく、安堵と感謝の気持ちで心が温かくなりました。
 私たちの絵本寄贈プロジェクトは、たくさんの方のご協力で成り立っています。今回は、ジャカルタマザーズクラブの方々が1冊1冊仕上げ、心のこもったメッセージを添えてくださいました。ジャカルタの子どもたちが絵本やメッセージを読み、遠く離れた日本の、会ったこともない誰かに思いを馳せるとしたら・・・、広い世界を感じるきっかけとして、とても素敵なことだと思いませんか。翻訳絵本を送る活動にご関心お持ちの皆さま、いつでもご参加をお待ちしています。
170
リーチした人数
18
エンゲージメント数
9

2021.12.04

翻訳絵本がインドネシアの子どもたちに届くまで:前編

  2021年、新しい年が明けた頃、J2netともご縁の深いジャカルタマザーズクラブのメンバーの方から「絵本貼付けのオンラインイベントを実施したい」とのご相談をいただきました。「マザーズクラブではコロナ禍で突然一時帰国になった会員も多いため、会員同士を繋げ、また、インドネシアとの繋がりを感じられるようなイベントを企画したい」とのこと。さらに、「コロナ終息後、インドネシアの子どもたちとマザーズクラブ会員が繋がるきっかけにもなれば」と、将来のことまで思いを馳せられていたので、J2netとしても喜んでお受けし、イベントに「協力」の形で参加させていただくことになりました。

 事前準備を重ね、2月16日に30分間のオンラインイベントを開催、5名のマザーズ会員の方に参加いただきました。まずはJ2netの活動を簡単にご案内し、翻訳絵本の作り方を説明。また、小さいお子様と参加された方もいらっしゃったので、J2net人形劇グループ ”TIM CERITA” メンバーによる手遊びや歌のお楽しみタイムも設け、インドネシアへの思いをふくらませながら楽しい時間を過ごすことができました。
 イベント終了後、イベント参加以外の方からも絵本作成の協力があり、最終的には計18冊の翻訳絵本を作成・寄贈いただきました。
後編へ

2021.09.26

マルクの子ども達に絵本を寄贈しました!

全国のTaman BacaanのネットワークNGOである1001bukuファディラ氏の紹介で、マルク州セラム島東セラム県に本を寄贈する話が持ち上がったのは4月のことでした。1001buku自体も、マルク州僻地への本の郵送は費用がかかる上、不安要素も多くなかなか実現できずにいる中で、ファディラ氏から「現地で社会活動をしている知人のユナン氏がジャカルタを訪問する機会あり、手持ちで本を運んでもらえるチャンスがあるがどうか」との打診をいただきました。J2としても、比較的絵本が流通しているジャカルタでなく、本の入手が困難な僻地への寄贈は有意義で是非やってみたいという話になり、急ぎ手続きをし20冊強の本をジャカルタの1001buku気付で発送しました。

現地までは、州都アンボンからセラム島東部の都市bulaまで船で一昼夜あるいは陸路車で16時間。そこからさらに車で4時間の道のりだそうです(google map でチェック!想像以上に遠いですし、僻地過ぎて詳細が出てきません・・・)。今回送った本は、Rumah Baca Kianlau、Lentera Walang Baca Gaur、RPQの3施設にユナン氏が手渡し下さり、無事子どもたちに届けられました。
絵本を手にとり真剣なまなざしで本を読む子どもたちの姿、愛おしいですね。今回は1001bukuの機転と尽力により、絵本を手にする機会が少ない遠隔地の子どもたちへの寄贈が実現できたことは、私たちにとっても嬉しいことであり、また良い経験になったと思います。課題は多くあり考えるべきことも多々ありますが、J2メンバーの知恵や行動力を結集し、またJ2ジャカルタや現地NGOと協力しながら、できる範囲内でまた新しいことにチャレンジしていけたらいいなあと思っています。一人でも多くの子どもたちの笑顔に会えるように!

2021.03.05

J2netが見てきたインドネシアの図書事情23年

 <J2netが見て来たインドネシア図書事情23年>

◆はじまり
1998年5月インドネシアではクーデターによる暴動が起きました。
それまでの政権はスハルト大統領によって治められ、独裁的な政治を30年余り続けてきました。自由な発言は規制され出版物も検閲を受け、政府に異議を申し立てる者は捕らえられました。ジャカルタで知り合ったストリートチルドレンを支援するヤヤサンスタッフの一人も捕まった事があると話してくれました。
私たちがジャカルタでJ2netを立ち上げた1999年頃は、まだその名残りもあり本屋さんに並ぶ本は限られたものでした。その状態を見て私たちも子どもたちに本を読んでもらいたいと、日本の古本を翻訳して寄付する活動を始めとし、様々な形で子どもたちへ本を届け始めました。
◆当時のインドネシアの状況
学校へ訪問した時は、必ず図書室を見せてもらいました。最初の頃はひどい状態でした。たいていの学校の図書室が埃だらけで、棚に置いてあるのは使い古した教科書やドリルの様なものばかり。教科書がひとり一冊とは限らなかったのです。どこを探しても図鑑や絵本・物語などの読み物は無く、学校の先生は図書室と呼びますが、本の倉庫のようでした。
本屋さんに児童書は少なく、あっても外国からの英語の本やインドネシア語訳文と並列の絵本。しかも高価です。公営の図書館もありましたが、日本に比べれば遥かに少なく誰もが利用できる訳ではありませんでした。政府は読書活動を推進する事は無く、国民も読書への意識が薄くなっていました。
そして大きな問題として、経済格差があります。多くの人たちが本の大事さを知る事も無く、またたとえ知っていて本屋さんに本が並んでいたとしても、買うのは難しい状況の家庭が多かったのです。
私はインドネシアの読書を推進する団体に加わり、おはなしや本の普及活動に参加しました。
そのグループでは、長期入院している貧しい家庭の子どもたちの病棟へ2週間に一度訪問し、お話や読み聞かせをしていました。
ある日、絵本の読み聞かせをした時、患者のお母さんから「その本はどこで売っているのですか?」と聞かれました。私はびっくりしました。現地で買った小さくて薄くて安い本だったのですが、ここにいるお母さんたちは本がどこで売っているのかも知らなかったのです。たとえ本屋を知っていたとしても、私たちにとっては安い本でも、このお母さんには買えなかったのかもしれません。
◆がんばる現地の人々
私が加わっていた団体の主宰者はインドネシアでも児童図書の第一任者と言われていた方で、選りすぐりのインドネシア民話本を何冊も製作しセットにして各地の学校へ寄付したり、バイク図書館の寄贈など図書推進の活動を行なっていました。その団体に関わる方で自宅の一部を図書室として開放している人がおり、訪問した際子どもたちがたくさん来て本を読んだり宿題をしたりしている姿は、素晴らしい光景でした。
また、インドネシア大学で教授をしていた方が引退され、お住いの地域の一軒家を借り図書館活動をしていました。J2もこちらの図書館とは様々な形で相互協力を行なっていました。
モスクを管理する方が、その横に小さな部屋を建て壁に本棚を作り、貸出までしていた民間の図書館もありました。
ユニークな移動図書館として、馬の世話をしている農村地区のスリルおじさんが、2015年頃から空いている時間を使って馬の背の両側に木箱を背負わせ、子どもたちの学校や村を廻る活動を始めました。その頃は、政府も図書推進に力を入れ始めており、寄付のために古本を送る際の送料を無料化したりしていました。おじさんの馬の移動図書館が有名になり、大統領にお呼ばれしたとのことです。NHKのドキュメント番組で放映されました。
これらの方達のように、ご自身が本の大切さを認識された知識人の方々、町の有識者などが独自で小さくても図書館を作り、地域の子どもたちや住民のために図書館を作り開放しています。
ある意味インドネシアでは政府より、「なんとかしなくちゃ!」と思ういろんな立場の人々が大小様々な図書館(taman baca)を作り上げて来たのかもしれません。
◆“ Taman Baca (読書の広場)”
街の小さな図書館の事です。
Taman は公園や広場、Baca は読む。
Taman Baca Anak 子ども(anak)を付けると子どもの図書館。
Taman Baca Masyarakat 市民 (Masyarakat)を付けると住民たちの図書館。
最近では、J2も関わっているスリブサトブク(1001buku)のようなボランテイアの図書支援団体も増えており、古本・寄付本を集めて各地の市民図書館へ送っている団体もあります。
現在ジャカルタでは翻訳活動はしていませんが、J2ネットジャパンでは翻訳絵本、さらに翻訳本増刷活動を続けており、日本からそのような団体を通して、Taman Baca Anakへ本を届け始めています。
J2netジャカルタでは、Bibit文庫という名でいくつかの学校や個人のお宅に文庫を設置しました。さらにバイク移動図書館を作り、プンチャックの農村地域に贈りました。J2netが開催したセミナーに図書関係者を招待したり、また外部セミナーに参加した際には、遠くカリマンタンの図書館運営者からも、本を届けて欲しいと依頼されました。
J2netが絵本のセミナーを開いた時、参加された出版社の方から意見を求められたこともありました。突撃訪問で、出版社に「こんな本を作り続けて欲しい!」と掛け合ったこともあります。
◆これからのインドネシア図書の未来は?
インドネシアも政府のトップが変わっていく事により、学校の図書室も少しずつではありますが変わってきました。最近では小学校にも司書が配置され、子どもたちへの読書推進に努めているようです。
政治や経済が安定してくると、本屋さんも良い本を出版してくれるようになったのですが、どんどん売れる本ばかりに偏る傾向があり、私たちが求める本が数ヶ月後にはもうブックフェアなどで安売りされているような状況もあります。
2017年国立図書館が移転し、新しく建てられたビルは地下3階、地上24階建ての世界一高い国立図書館となりました。ロビーホールは4階までの吹き抜け。4階まで続く高さの本棚は圧巻でした。
11月オープニングのこけら落としイベントがあり、J2net人形劇グループも呼ばれ参加したのですが、ロビーホールと児童図書室で人形劇を行い子どもたちや保護者、図書館員などからも喜ばれました。
J2netの活動と一緒にインドネシアの発展を見つめてきました。
でも、発展だけではなく発展できない部分、間違った発展も同時に見てきました。私たちの力では動かないものばかりですが、私たちでなければできないこともあるはずです。
これからも、インドネシアの子どもたちの楽しみのひとつとして本に親しんでもらうためにも、インドネシアでは買えない本を送り続けられたら嬉しいです!
◆日本でも
コロナ禍中において、今まで外で仕事をしていた親が、子どもたちとのおうち時間を飽きさせずに過ごすにはどうすれば良いかと思案してか、最近絵本が見直され売上が伸びているそうです。子どもたちは本に興味がわけば、本当に時間を忘れて夢中になります。本に夢中になる事で、私たちは様々なことを身に付けることが出来ます。
素晴らしい教えや気づきを与えてくれ、楽しみでもあり、人間を豊かに育むツールなのだと思います。
(Hori)

2020.09.26

北ジャカルタで読書活動をしている『TBA Cerah』より近況報告

 《北ジャカルタ・TBA Cerah より近況報告》

 J2net ジャパン・絵本翻訳グループが昨年より絵本を届けている、北ジャカルタで読書活動をしている『TBA Cerah』📚

「コロナ禍の中、どの様な活動をしているのか?
子供達の状況はどうなのか?」を尋ねてみました。

 “今は対面式の授業は無く、学校は閉鎖、リモート授業が行われています。
この地域には、親が携帯電話を持っていなかったり、インターネットの為のパケット料金を支払えないなどのために、遠隔学習ができない子供達がいます。
そこで、TBA Cerahは8月24日からFTBM(Forum Taman Baca Masyarakat:読者啓蒙活動を行う組織)より援助を受け、Wi-Fiを無料で提供し、月曜から金曜日にリモート学習のスペースを開設しました。
もちろん学習時にはコロナ感染防止に注意を払っています。
子供達は、勉強道具、教科書を持参、携帯電話も、個人で準備します。
携帯がない子供は、友達と一緒に勉強しています。
J2net の皆さんがまた、来てくださるのを心待ちにしています。”

代表のシャリフさんからお返事と写真、動画が届きました

今は直接会って、絵本を届けることはできませんが、引き続きTBA Cerahの活動を応援したいと思います😊
よろしくお願いいたします❤️

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